恩師

思えば恩師に恵まれてきた。何人も大切な方々のお顔が浮かぶけれど、その最初は、東京調布市にあったシオン幼稚園で担任をされた増田先生だった。温かい愛情、信頼関係、楽しい会話、未来を照らすような手紙。始まったばかりの私の人生に、生涯消えない明るい光をともしてくださった忘れがたい恩師である。直接お伝えるすべはないけれど、幼少期の感謝を、50歳を超えても胸に熱く感じています。

 

先生という仕事は本当に尊い。息子や娘たちがお世話になった保育園や学童の先生たちも素晴らしかった。その後、ある職場で(地域は違うが)学童の先生を辞めて入社してきた方と出会った。あまりの薄給で暮らせなかったと聞いた。あんなに大切な仕事に対価が支払われないのはおかしい。いかにも良い先生だったはずの、その人の道を絶つような業界ではいけないだろうと思った。顧客である若い保護者たちに余裕がないのは当然なのだから、構造的に変革して、先生たちの立場を公的な仕組みで支えるべきだ。

 

介護職も同様。夫が10年ほど前に福祉や介護の職業に転職しようとしたことがあったが、給与があまり高くないのはもちろん、それとはなく高齢や性別(女性のほうが良いと言われたらしい)を理由に門前払いされた。これからの日本では介護が必要な人口が爆増する。保育も介護も人の命をあずかる大変な仕事なのだから、医師や看護師に準ずるような好待遇にして、たくさんの人が進んで働きたくなるような環境を整えなければならない。

 

大学や小中高の先生方も多忙過ぎる。メンタル不調の患者さんは先生業に多いと医療現場で聞いたことがある。そんな世の中、おかしいでしょう。教育は未来づくりの根幹であり、健全な教育現場を支えるのは、社会全体の責務のはず。

 

……すっかり話がそれてしまった。ちなみに私がお世話になった幼稚園は私立で、お給料事情がどうだったかは園児だった私が知るよしもない。とても素敵な園だったけれど、少子化が進む都内ということもあり、早々に閉園してしまった。