終戦(敗戦)を振り返る日の午後、平和の大切さを痛感しつつナマコの新刊本を読み終えた。空を羽ばたく白いハトも良いけれど、私にとっては、海底をはうナマコこそ平和のシンボルだ。
北海道の大きな書店(釧路発祥の書店チェーン「コーチャンフォー:Coach & Four=4頭立ての馬車」の釧路店)で購入。大切な恩師ご夫妻にご案内いただいて初めて入った書店で出合ったので、それだけでも特別なのだが、読んでみて、さらに特別な1冊になった。
著者は、医学界にいながらナマコ研究を続けていらっしゃる奇特な方。ヒトとの類似性(?)にも言及する読み応えのある内容で、乱獲で減りゆくナマコのくだりでは真顔の政策提言も含む。それでいて、文章は軽快な関西弁の物語調で非常に読みやすい。
シカクナマコをこねて溶かしてみたり、オオイカリナマコを結んでみたり、わんぱく野生児のような実験も紹介されているが、それぞれが読者への温かいメッセージにつながったりしていて、妙に納得させられる。
紙の書籍を出すのは簡単ではない時代だけれど、この著者の長年のナマコ愛が立派な形になったことを本当に良かったなと出版界の端くれとして思う。多くの人にナマコの不思議な生態を伝えてくれる新たなツールの誕生だ。めでたいな。
◎おまけ
ナマコといえば、今、こちらの話題も熱い!上野の国立科学博物館で開催中の「海展」には、深海にすむセンジュナマコやクマナマコ(可愛い!)の標本がずらりと並んだコーナーがあります。出口間際のショップには、センジュナマコのぬいぐるみが山盛りです♪