今年の初日の出ならぬ初海出は、お正月の島旅(伊豆大島)の予定でしたが、家族の健康問題で泣く泣くキャンセルしました。そして、遠目ですが、飛行機の窓から眺めた太平洋が、2020年の海初詣でとなりました。人家を縁取るように広がる東京湾と四国の太平洋岸を空から眺めると、つくづく島国だなぁと思います。日本に住んでいる限り、毎日が島旅のようなものなのかもしれません。
家族の看病のために到着した高知市では、町中の小さな水路の多さに改めて驚きました。水草が揺れる澄んだ流れが、民家の間に当たり前に残っているのです。道路から小さな橋を渡って玄関に至る家も多々あり、毎日がちょっとした島旅とも言えそう。そんな家に住む暮らしを夢想しながら、うっとりと散歩しています。
大きめの水路には酔っぱらって落ちる人もいると聞きました。さすが酒呑みの多い高知。そのせいなのか、はたまた車のための道幅を確保するためなのか、小川を暗渠化する工事がちびちびと進んでいる様子も各所で目にしました。
水音が響く城下町の風情も、今後いつまで続くかわかりません。高齢化が進む町の設計が安全第一になるのも理解できるのですが、なんとか安全性を確保しつつ、昔ながらの情緒あふれる景観を失わずに済む方策はないものだろうか……。
水路の中の生き物を目で探しつつ、そんなことを考えています。それにしても寒い季節だからでしょうか、今回は魚1匹出合えないまま明日で高知を離れます。
また暖かい季節に出直して、水路めぐりを楽しみたいです(電車やバスの便が限られているので、結果的に歩いたほうが早くて、水路散歩を楽しむ時間が発生する高知。私はここに流れる時間も水も、耳に流れ込む方言も、とても好きです)。