いつもはウェブ記事を出した後は、ご報告の意味も込めて、すぐにTwitterやFacebookでリンクを発信するのですが、1月29日に掲載された記事は、いまだにSNSで拡散する気になれません。
というのも、ウェブで公開されてすぐに、私の記事にしては珍しく、ダダダっとすごい勢いで、60件ぐらいのコメントが付いたからです。しかも、そのスピードや内容が、いつもと様子が違う。
なにかしら不穏なコメントが付くのは想像していた記事でしたが、妙に反応が早いし、匿名だからなのか嫌味っぽい、超感じの悪いコメントが多いこと。
軍備拡張って、基本的に、一般の人の日常には、ほとんど直接的なメリットがないはずなのに、あからさまに推進したがっている人たちがいる不気味さに、改めてゾッとしました。
コメント主が、一般の人かどうか知りませんが……。
くだんの記事のタイトルは、「サンゴだけではない、辺野古基地が招く生態系破壊」です。
2つは同じ記事で、いろいろコメントが付いたのはヤフーのほうです。ほんの一部、拍手を送りたいような知的なコメントもいただきました。この場を借りて、その名も知らぬコメント主さんたちに御礼申し上げます。
まあ、いかにも、危ういコメントを呼びそうなタイトルではありました。
にしても正直、ヤフーの雑誌オルタナ専用のあのサイトを、常々チェックしていて即応答する人がそれほどの人数いるとは思えないのです。雑誌の性質からしても、基地賛成派が多いような読者層ではありません。
おそらく、ただちに集まってきたのは、辺野古の基地問題に特別な関心を抱き、積極的に検索して書き込んでいる人たちだったと思われます。それも昼間だったので、時間に余裕がありそうな印象。
コメントの内容も、辺野古に関する他誌記事で読んだような、既視感のあるものばかりでした。「那覇空港のほうはどうした?」という問いへの答えは、生態系保護の観点だけから言えば、どこのサンゴ礁であっても、つぶしたくはないのは当然です。問うまでもないのです。
沖縄の海洋生態系を知る先生にも事前に同じ質問をしたのですが、やはり「那覇だって埋め立てないほうが良かったに決まっている(反対もしていた)」という、当然のご返答でした。
沖縄の陸地の多くは基地に占められていて、だからこそサンゴ礁を削る海の開発が生じやすいという側面にも、初めて気付かされました。
敢えて比べれば、生物多様性という意味では、那覇空港の現場より辺野古崎のほうが豊かで、とりわけ大浦湾の自然が重要なようですが、だからと言って、那覇空港の犠牲になる生態系がどうでもいいとは誰も思っていないわけです。
生態学者が声を上げたり、私のような者が書きたくなる背景には、その開発行為を歓迎していない人が多いという事実が横たわっています。那覇空港が辺野古ほど騒がれなかった理由は明白です。
今回の記事では安全保障とか、新基地建設の是非とかには触れませんでした。焦点がぶれるし、字数も限られているので、「とりわけ貴重な生態系が壊される」ということだけ書きました。
あそこに基地を新設することが「絶対に普天間返還につながる」「絶対に日本を守ることにつながる」と信じる人たちがいることは知っていますし、その方々の心には日本国を守る!という、その人なりの知識に裏付けられた「正義」があることも理解できます。
しかし、「正義」は人によって異なるわけです。
(今ちょうど捕鯨をめぐる2つの正義についての記事を書いているのですが。)
私には、美しい国を守ると言いつつ、わざわざ国内屈指の美しい価値ある自然をゴリ押しで壊してしまうのは愚かに思えます。他国と虚勢を張り合うのは高コストな行為で、結局、お金や人の多い国には追い付けないでしょう。キリがない上に勝算もありません。
基地が攻撃を招く可能性も大です。そして、有事を招いた暁には、私たち市井の人々から先に、あっさり虫けら同然に扱われ犠牲になる。そのことは、嫌というほど、歴史が教えてくれています。
賢い政治家が対話で戦争を遠ざけてくれれば、無駄な軍事費もかからず、美しい自然も残せて、暮らしに即した前向きな事柄に税金を使えるはず。そういうスマートさで国の「強さ」を競い合えたら素敵です。
もしも人類の叡智が進化するのであれば、そろそろ幼稚な身内争いからは卒業できるころだと思うのですが。まだなのでしょうか。どうせ数十年で尽きる一つの命ながら、じれったいです。
追記2019.2.28
このブログ、書いてから後悔して消したくなりました。
やや妄想が入っている内容だったので、お恥ずかしい。
でも敢えて過去を消さずに、今日を生きますー。とほほ。