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誤訳と日本の科学リテラシー

気候変動という言葉より地球温暖化という言葉のほうが

断然メジャーだった10年ほど前、

確か江守正多先生だったと思いますが、

ある講演会で科学者が、

 

Climate change(気候変動)とGlobal warming(地球温暖化)を日本語にする時に、いっしょくたに「地球温暖化」と訳してしまうから、寒い冬が来ると「温暖化じゃなくて寒冷化じゃないの?」なんて言う人がいる。クライメートチェンジの実態は暑いも寒いも含め異常気象が増えることなんだ

 

ということを言っていて、なるほど〜と思いました。

 

英語圏では?と思って検索したら、NASAのサイトに、ズバリ

Whats in a Name? Global Warming vs. Climate Change

という記事がありました。ネイティブの間でも混同されたりして、

NASAは敢えて「気候変動」と言っているようです。

なぜなら単純な気温上昇だけよりも、気温上昇という概念も含む

気候変動という地球全体の大異変のほうが影響が深刻だから。

 

 

それから、昨年沖縄でインタビューさせていただいた

琉球大学の中野義勝先生は、

 

サンゴが弱って褐虫藻が抜けてしまうことをBleaching(脱色)というが、これを白化と訳してしまったから、日本では、単純に白くなることだと勘違いしている人が多い。実際には褐虫藻がいなくなってサンゴの骨格の色が見えるようになる現象だから白くなるとは限らない。骨格が白いサンゴが多いから多いだけで、骨格が黒くてブリーチングで「黒化」するサンゴだっている。

 

と言って、実際に黒いサンゴの骨格を見せてくださいました。

 

※ 普段は沖縄の瀬底(那覇から遠い)まで行かないとお会いできない

中野義勝先生が、1月30日(火)に都内のトークイベントに登壇されます。

直接お話を伺うチャンスですよ! 2018.1.18追記

 

これは蛇足ですが、

そのサンプルの提供者というのが、私のサークルの先輩だったので、

ご縁にビックリしました。(南三陸で活躍している太齋先輩。

最近「デザイン・バル」を起業されました。パチパチパチ!!)

 

 

さらに先日。

カナダに移住して10年ほどになる中学時代からの仲良しと日本で再会したら、

 

息子(カナダ生まれの坊や)に買った英語の宇宙の絵本が面白くて。日本で習った時は星とか惑星とか恒星の違いがいまいち頭に入らなかったけど、英語で、自ら光るのがstarで、光らずにstarの周りを回っているのがplanetと読んだら、急にストンと理解できた。

 

と言うのです。昔の彼女はとても文系のイメージだったから、ウキウキと宇宙の話をする横顔に、新鮮な感動を覚えました。

 

 

これらは全て、日本語で学ぶscienceの限界のようなものを、うっすらと感じさせてくれたエピソードです。

 

ライターとして日々日本語と格闘している私は英語に頭を使う余力がないまま大人になってしまって(というのは言い訳だけど)、英語圏の方とほとんど会話もできないけれど、最近やたらと仕事で不便を感じます。

 

英語力不足を痛感する場面が、数年前より確実に増えています。海や生き物のことを書こうと思えばサイエンスが絡むので当然と言えば当然ですね。そういや、学生時代に辞書を引き引き読んだ論文も軒並み英語だったっけ。

 

日本の科学リテラシー(そもそも、この「リテラシー」自体が翻訳をあきらめてカタカナにした英語!)向上に寄与する書き手になりたいから、今年こそ英語の壁をよじ登らなくては。

 

というわけで、NASAのページなんぞ引用しちゃった年初のブログでした(^^ゞ