海ライター/海洋ジャーナリスト
編集ライター
瀬戸内 千代(せとうち・ちよ)
SETOUCHI Chiyo
1974年に東京都調布市(水神信仰の深大寺付近)で生まれる。7歳で海なし埼玉県に転居したが、夏休みごとに両親の郷里(愛媛県松山市)の瀬戸内海に通い、見慣れない生き物が次々と現れる磯遊びにはまって海好きに。高校時代に地元のダイビングスクール(上尾 Seads)でライセンスを取得して海に潜り始める。大学ではスキンダイビングサークル「海洋研究会」に所属し、伊豆七島や小笠原などで素潜りをして海洋生物たちの暮らしを拝見。他大学の公開臨海実習に参加して複数の国立大附属臨海実験所を巡り、気の合う仲間との出会いを堪能した。学内では応用より基礎生物学の面白さにはまる。他学類の科学思想史を受講して故・金森修先生に寺田寅彦論を褒めていただいたことが一つの転機となった。1997年に筑波大学第二学群生物学類を卒業後、理科器具の中村理科工業(現ナリカ)に入社。その後、俳人の祖父と詩人の母(ともにアマチュアながら半世紀以上のキャリア)の影響もあり、結婚出産を機に学び直して出版界に転職。かつて進路に悩む私に寅彦の全集を手渡しながら祖父が語った「理系と文系を融合するような生き方」を目指し始める。出版社勤務や新聞社の編集委託業務などを経て、2007年に環境ライター(個人事業主)として独立。環境系雑誌やウェブメディア向けの取材を重ねる。2017年頃から海ライター/海洋ジャーナリストの名刺を使い始めた。
【ミッション】 生命の豊かさ不思議さを伝え、地球に生きる幸せを読者と共有する
【ビジョン】
・生物学者をはじめ科学者の魅力的な研究や生きざまを広める
・残したい環境や生物や人の暮らしを記録する
・高いポテンシャルを持つ日本の自然の保全と復元に貢献する
※東日本大震災以降は、恩師の拠点だったご縁から、不定期に宮城県南三陸町に通っています。大津波に襲われてから変わりゆく町は、自然と人との関係性を鋭く突き付けられる場所です。震災を経験した方々に教えていただいた多くのことを、少しでも書くものに反映していきたい。3.11以降の新たなミッションです。
※2020年の夏、いとこが上梓した『図解 人材マネジメント入門』の「ミッションとビジョンの違いは何か?」というページで「ビジョンは変えるべきもの」「ミッションは変えてはならないもの」と学び、上記の項目名が逆だったので修正しました。
【実績】
→ 「最近の仕事と関心事」は、こちら
◆ 書籍(ライティング・編集協力など)
・『海洋科学技術センター海洋硏究開發機構創立50周年記念誌』「JAMSTECはじまりの40年」の章を執筆、JAMSTEC(国立研究開発法人海洋研究開発機構)、2022年
・『BLUE EARTH COLLEGE-ようこそ、地球経済大学へ。』13名の講演から書き起こし執筆、東京都市大学環境学部編、東急エージェンシー(POZI)刊、2015年
・『「森の演出家」がつなぐ森と人 ―五感を解き放つとっておきの自然体験―』取材と執筆、土屋一昭著、化学同人社、2019年
・『海洋白書2018』『海洋白書2019』『海洋白書2020』『海洋白書2021』『海洋白書2022』各年のコラムやプラスチックの節などを執筆、笹川平和財団海洋政策研究所、2018~2022年
・『海とヒトの関係学シリーズ第6巻 海のジェンダー平等へ』編集に協力、笹川平和財団海洋政策研究所、2024年
・その他、オルタナ別冊「グリーン天職バイブル」編集協力、筑波大学by AERA 一部執筆、『生きるとは?―海の森林が教えてくれたこと なぜ昆布は死んでからダシが出るのか』編集協力、『グリーンエコノミー時代を拓く 森で経済を作る』一部執筆、『就活NEXT 未来を変える会社 2020年度版(日経キャリアマガジン特別編集)』一部執筆、『あなたがきらめくエコ活!』編集協力、『親子で楽しむ!歴史体験ミュージアム』撮影協力 など
◆ 雑誌・フリーペーパー
・国立科学博物館「milsil(ミルシル)」特集編集(ミュール社に協力)2023年~
特集面:96号 日本犬、98号 土器、100号 ノーベル賞、
・笹川平和財団海洋政策研究所「Ocean Newsletter」編集協力 2019年~
・雑誌『オルタナ』連載ページ「漁業トピックス」担当等 2012年~2022年
漁業特集『オルタナ46号(2016年9月29日発売)』一部公開中
アクアマリンふくしま『オルタナ59号(2020年2月号)』等
・雑誌「せとうちスタイル」野間仁根(のま・ひとね:伊予大島出身の画家)特集10ページ等
・雑誌『医歯薬進学』医師・歯科医師グラビアインタビュー等 2016~2018年
・NPO法人OWS季刊 『Ebucheb(エブオブ)』下記は担当した特集記事 2010年~
Vol.43 後藤友明さん「東日本大震災によって三陸海岸域の海と海洋生物に何がおこったか」
Vol.51 清野聡子さん「全国で進む防潮堤建設事業と海岸環境の危機」
Vol.62 鈴木孝男さん「津波が干潟生物に与えた影響と課題」
Vol.64 重松洋さん(取材)「部活動から広がる環境教育と地興域振興
~クマノミの秘密を解明した長浜高校「水族館部」の顧問・重松洋先生に聞く」
Vol.67 シェリー・クラークさん「本当に「怖い」サメの話
ーサメを恐れる人類こそがサメを脅かしているー」
Vol.70 海部健三さん「ニホンウナギの保全のために、本当に役に立つこと」
Vol.74 中村洋平さん「温暖化による魚類相の変化を探る ー四国黒潮沿岸調査」
Vol.81 田中克さん「ムツゴロウ目線の有明海再生論:森里海を結ぶ」
Vol.85 征矢野 清さん「環境医薬品による新たな水域汚染を考える」
Vol.86 稲葉一男さん「繊毛から眺める海の生き物」
Vol.88 原田直宏さん「山口県のカブトガニを見つめて30年」
◆ ウェブ記事
・笹川平和財団海洋政策研究所「Ocean Newsletter」編集協力 2024年(デジタル化)~
・MSC認証(一般社団法人 MSCジャパン)公式「海洋ジャーナリスト瀬戸内千代のもっと知りたい!MSC」2017~2021年
・シーフードレガシーTSSS(東京サステナブルシーフードシンポジウム)2019レポート(Cルーム担当)
・オルタナYahoo!/サステナブルブランドジャパンのニュース多数 2010~2022年
・ミラツク『esse-sense(エッセンス)』2021年~
榎本 浩之さん「雪の中を歩き宇宙からも眺めて探る、北極の今」
伊藤 冬樹さん「分子の振る舞いの不思議を、光と色で解き明かす」
征矢野 清さん「環境と魚食を守り、長崎の未来にも貢献にしたい」
松島 憲一さん「世界中で愛されている「トウガラシ」の多様性と文化的背景に魅せられて」
小林秀樹さん「北極圏の森林を見つめ、地球環境に思いを馳せて」
渡邉 英嗣さん「北極海の氷にぶら下がる藻の運命やいかに」
梅干野成央さん「歴史的建造物、そして山岳建築の調査研究から、土地に根差した建築の姿を探求する」
塚谷 祐介さん「生物の仕組みや進化の起源を、光合成の研究から解き明かす」
手嶋勝弥さん「結晶で水を浄化して、暮らしを変える技術を世界へ」
喜井勲さん「“ツンデレ”なタンパク質をどう攻略するか。見逃している世界を明らかにし、創薬に生かす」
杉山慎さん「氷河の底をのぞいて探る、数百m厚の巨大な氷が流れ出すカラクリ」
西本健太郎さん「国境のない海や混沌とした国際情勢に、どうやって秩序を形成するのか」
高倉浩樹さん「タイガに生きる人々の暮らしと文化を知り、他者理解の醍醐味を広める」
若井暁さん「診断法や特効薬を見つけて金属製パイプラインを微生物腐食から守る」
本田明治さん「渦巻く冷たい寒気と極端な気象現象の関係を探る」
青木輝夫さん「地球の温まりやすさを変える雪や氷の「アルベド」を正確に計算するために」
金尚宏さん「原始生物から受け継いだ体内時計、その鍵を握るのはカルシウムだった」
・ウェブマガジン「greenz(グリーンズ)」2011年~
3.11の大津波後、海辺の生き物はどうなった!?科学者と市民が一緒に調査をする「アースウォッチ」で見つけた、“生物多様性の復興”のこと
ようこそ「奇跡の海」へ。自然を愛す研究者と旅行者と地元住民が集う、上関の“体験型”ゲストハウス「マルゴト」 等
・ウェブサイト「ローカルベンチャーラボ」2017年
東野 唯史さん(株式会社リビルディングセンタージャパン)前編・後編
・気象庁 気象研究所 中期研究計画(2019-2023年度)各研究課題の紹介ページ
・資源エネルギー庁 再生可能エネルギーポータルサイト 2009年頃
・東京都環境局メルマガ 2008~09年
・NewsPicks「海に眠る透明な資源『海洋深層水』の秘密」等 2015年頃
・サーモス PLUS THERMOS「今日もマイバッグを忘れずに。地球環境を汚さないための新習慣」等 2020年
・スターバックス STORIES「Reuse & Respect が合言葉。リユースを社会の当たり前に」等 2021~22年
・日経BP「ECO JAPAN」山村再生関連(山村ナビ)、「エコマム」スペシャルレポート多数 2010年前後
・エコトワザ「TOMORROW BOX」2014年10月号ほか
・グリーンジャパン『エコスマート』2012~13年
・国立青少年教育振興機構『体験・遊びナビゲーター2』
◆ 映画リーフレット
2011年ドキュメンタリー映画「アンダー・コントロール」(オルタナ掲載の監督インタビュー記事の一節が転載された)
◆ 新聞
ライター養成スクールLETS(ゼロ期生、2007年)修了後、フリーペーパー「リビング新聞(現:LIVING)」
「フジサンケイビジネスアイ」「産経新聞」「日経産業新聞」等
◆その他
・中村理科工業(現:ナリカ)在籍時 → 科学おもちゃ 開発協力「するりん」(国立科学博物館のショップに陳列された商品)、拡販協力「ゾムツール」1997~99年
・ブライダル写真アルバム編集 〜2007年
・ホームページ執筆&制作ディレクション 〜2007年
・企業ホームページのテキスト執筆
・人材派遣会社、家電・製紙メーカー等ウェブマガジン執筆
・家電量販店等のCSRレポート執筆
・ひらいグループ(ラクーネル株式会社)季刊広報紙の企画・取材・執筆・編集 2013〜22年
【資格・委員等】
・PADIアドバンスド・オープン・ウオーター・ダイバー
・エコピープル(第5回eco検定合格)
・雑誌『オルタナ』編集委員 2008年〜
・Ocean Newsletter事務局
実務担当 2019年〜
・海の生き物を守る会「うみひるも」編集担当 2012〜20年
・NPO法人OWS(The Oceanic Wildlife Society)季刊誌「エブオブ」編集委員2010年~、副編集長2019年〜
・「海の女性ネットワーク」メンバー 2019年〜
海底の砂を黙々と浄化するナマコが人生の師。
ナマコは自由で平和でマイペースで、時にしたたかで。他者と争わず、文句も言わず。ただ生まれて、そして死ぬ。
環境を汚さず、むしろ浄化しながら淡々と生きる姿は、まさに師匠の貫禄です。
大学4年生の時、伊豆半島の突端にある研究所(筑波大学下田臨海実験センター)に住み込み、故・横濱康継先生(当時のセンター長)と、青木優和先生(現東北大学教授)のもとで卒業研究に取り組みました。
テーマはムラサキクルマナマコ。これ、当時描いた図で、今もSNSのアイコンなどに活用しています。その名の通り、実際の体色は濃い紫色で、皮の中に散らばる顕微鏡サイズの「骨片」は美しい車輪型です。天然海岸が残る下田の海辺の岩礁地帯にすんでいる小さなナマコで、水着に着替えなくても簡単に見つけられる種類ですが、食用にならないので全く注目されません。あの頃も、私のほかに九州の院生1人しか研究していなかったと思います。その唯一の同志に会いに鹿児島に行った時、桜島の岩礁の海底に横たわる見慣れたナマコたちの姿に、いたく感激しました。
伸び縮み自在でいくら観察しても見飽きない可愛いヤツです。下田で摂食や生態について調べていたら、思いがけず、自切する可能性が見えてきました。海辺で大きなネットに入れて干潮のたびに観察したところ、どうも数が増えているのです。一人であたふた作業していたので、あれ、手違いかな?と思いましたが、確かに多くなっていました。卒業後すぐ就職したので謎のままに終わりましたが、環境が悪化するとブチブチと自分でちぎれて増えているのかもしれません。私もブチッと分裂できるのなら、もうひとつの個体では、この研究の続きに取り組みたいです。
世の中を
かしこく暮らす
海鼠哉
正岡子規